承認欲求

川上量生 目的を持つっていうのは、人間の生きるための手段ですよね。で、僕は、「やりたいこと」以外にも、人間が生きるための指針ってあると思っていて。僕は、プライドや自尊心のほうが、より本能的なものだと思ってるんですよね。これは、「やりたいこと」がない人でも持っています。これだって、突き詰めて考えると意味のないものなんですけど、プライドや自尊心がなくなったら、人は起きて飯を食って寝るだけの生き物になってしまうでしょう。

—— 動物みたいになってしまうと。

川上 動物としても競争力ないですよ。そんな人生は嫌だという気持ちが人間にはあって、その気持ちの根底には自尊心がある。これは、食欲、性欲、睡眠欲と同じような、人間の本能だと思うんです。「やりたいこと」っていうのはそれに紐付いたものであって、プライドや自尊心を持つために「やりたいこと」という看板を必ずしも掲げることはないと、僕は思ってるんです。

—— 順番が逆だと。でも、みんな「やりたいこと」が大好きですよね。

川上 特に若い人はね。

—— いや、僕も最近「本当に好きなこと、やりたいことはなんなの?」って聞かれることがあって、答えられなかったんです。だから、川上さんはどういうお考えで今の事業をやっているのか聞きたいと思ったんですよね。

川上 僕はやっぱり、何事も突き詰めて考えてしまうので、すべてのことに対して「源泉」はどこにあるのか、といつも考えているんです……って、ニコニコを離れて人生哲学みたいな話になってますけど、これ、連載的に大丈夫ですか?(笑)

—— 大丈夫です(笑)。「川上量生の胸のうち」なので。

バカなこととわかっていて、バカをやりたい

川上 じゃあ、続けます。プライドや自尊心の根底には、「承認欲求」があると思うんです。これはさらに本能的なもの。世の中の人ががんばってるのは、やっぱり承認欲求によるものだと思うんです。起業家とかみんな、大層なことを言いますけど、けっきょくのところ認めてもらいたいだけなんです。

—— 社会起業家なども、社会を良くしたいとかそういうことではなくて、自分が認められたいからがんばってるということでしょうか。

川上 身も蓋もないけど、絶対そうですよね。だったら、承認されればいいわけです。「社会を変える」じゃなくて、「認めてもらう」のほうが目的なんだから、手段と目的を履き違えないほうがいい。

—— じゃあ、そんながんばらなくてもSNSで「いいね!」を集めていれば充分なんじゃないの? ということでしょうか。

川上 そうです、そうです。「いいね!」で充足していればいいんですよ。そこからさらにがんばって世界一になりたいとか、世の中を変えてやるとかって、その程度の承認じゃ物足りないってこと。それは、世間並みにお金があるだけじゃ充足しなくて、とにかく誰よりも金が欲しいという欲求と、基本的には一緒ですよね。「承認」を「お金」に置き換えれば。

—— おお……そこにいくんですね。

川上 同じですよ。その区別は、僕は難しいと思う。それを踏まえて自分がどうするかというと、「世の中を変える」ということに対するスタンスって、「必死にがんばる」はおかしいと思います。論理的に考えた美学において、醜くないスタンスは「愉快犯」しかないんです。変わらなくても別にいいけど、変わったらおもしろいじゃん、だからやる。それが僕にとっては一番倫理的に正しい、というのが結論です。
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肩書き:代表戸締役 独りサク飯研究会員 所属政党:自由飲酒党 好きな唄:民生の「息子」 <<【東北人魂】仙台遷都、福島東北オリンピックの実現へ。>> 都心型仙人を目指してはいます

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